年をとると、体のいろいろなはたらきが弱くなるだけではなく、病気にかかることも多くなってしまいます。おとしよりだけの病気というわけではありませんが、子どもではほとんど見られないものがあるのです。
年をとると物忘れが良く起こります。あれ? 何だっけ? と思うことは、子どもにだってあることですよね。せっかく覚えたのに忘れちゃったり、思い出せなかったりすることはだれでも経験があることでしょう。
認知症というのは、「ぼけ」と呼ばれることもあります。あの人って天然ボケだよね。という言葉をつかったりしますね。ちょっと変なことを言ったり、何かを知らなかったりといった時に使いますよね。おとしよりのボケというのとは、また違ったものです。認知症の人は、いつもの生活はできる人もいるけれど、ふとした瞬間に、まわりの人が理解できないような行動をとったり、言葉を言ったりすることがあります。脳のはたらきが弱くなってしまうことで、物を覚えていることが難しくなるのです。
ただのもの忘れって、思い出せなくても聞いたり思い出したりすることができますね…。しかし、認知症の場合には少し違うのです。ちょっとしたことを忘れてしまうだけではなく、時間がたっていくと自分が何をしていたかを忘れてしまうこともあります。また、自分がその病気だとは思えなくて、人から介護をされたり注意されたりすることをいやがります。家の中のことだけではなく、外に出かけてからいつもなら知っている場所で道に迷うこともあるかもしれません。認知症の人への介護が必要になってきます。
認知症は、もの忘れがひどくなった状態のことを言います。どのようなことがあるのでしょうか。人によってぜんぜん違うのですが、忘れてしまう、覚えていないということがほとんどです。少しだけ例をみてみましょう。みんなが同じような行動をするわけではありませんよ。
今日は何年何月何日? と聞かれて、すぐに答えられる人のほうが多いですよね。ちょっと考えて昨日のことを言ってしまったり、曜日がずれてしまったりすることはあるかもしれませんが…。認知症の人は、日にちがわからなくなることがあります。20年も前で、季節が違う月を言ってしまうかもしれません。また、季節がわからなくなってしまって、冬なのに半そでの服を着てしまうなどの時間の感覚がおかしくなってしまうことがあるのです。
自分のおさいふから、買い物をすることは小さな子どもでも教えると簡単にできるようになりますね。病気になってしまうとお金をはらうことを忘れてしまって、注意されることもあるでしょう。また、お金を使ったはずなのに「足りない!」とカン違いを起こしてしまうときもあります。
12時に、おじいちゃんといっしょにお昼ご飯を食べました。でも、おじいちゃんは、1時になったときにお母さんに向かって…「昼ごはんはまだ?」と聞いていました。さっき食べたばかりなのに、そのことを忘れてしまっているかもしれません。ついさっきの事を頭のなかで思い出せない状態になっているのです。
認知症の人の行動は、はじめは理解できないかもしれません。おじいちゃんやおばあちゃんが、病気だったらあなたはどうすればいいでしょうか? 考えてみてくださいね。認知症は、お父さんやお母さんもなってしまうかもしれない病気です。介護といっても生活を助けてあげるということなのですから、できることを手伝ってみましょう。
子どもも大人も、怒られると気持ち良いわけありませんよね。何で覚えてないの? わかってくれないの? と思っても、怒って責めることはいけません。ケガをして歩けない人に、無理やり「走れ!」なんて言葉を言ったりしませんよね。忘れてしまう病気ということを理解してあげましょう。生活の全部ができなくなる病気ではありません。でも、まわりの人がわからない行動をいきなりしてしまうかもしれません。なので、できるだけいっしょにいてあげる事が必要になります。家のことがわからなくなってしまっても、家族の名前を思いだせなくなっても、ちょっと忘れてしまっているだけなのですから。
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